我が家が家族ぐるみで愛してきた焼肉「一龍」が5月いっぱいで、閉店となります。
最後になるかもしれない覚悟をもって、トモとふたりで、焼肉をいただきに出かけてきました。結局帰省出来なかったはやとさんとサツキには、写真を送って食べた気になってもらうことに😅
馴染み深く、家族で何度も訪れてきた我が家の歴史に欠かせない店「一龍」
今日は、焼肉「一龍」との、四半世紀に渡る記憶を遡りながら、ブログに記録して残しておこうと思います。
まさこが、ここ下関に引っ越し、赴任したばかりの頃の彦島中学校には、規律と節度と愛情のバランス絶妙な「カトちゃん」という生徒指導主任がいました。このカトちゃんが焼肉「一龍」をまさこに教えてくれた人でした。
厳しさの中にも愛があり、義理と人情を重んじるカトちゃんは、当時のワルたちにも信頼厚く、常に敬語で「先生は彦中の誇りです!!」と慕われていました。
まさこも、カトちゃんには、生徒の起こすトラブルの解決で何度救われたことでしょう。
まさこのカトちゃんとの忘れられない一番の出来事。
まさこが3年間持ち上がりで担任してきた生徒たちの卒業式前日のこと。
夕方暗くなってから学校の敷地内にある「師恩(シオン)の庭」にクラスの子どもたちを集合させ、学級で作っていたタイムカプセルを、こっそり埋めるという計画を企てていました。タイムカプセルは、湿気がこないようにと、子どもたちとあれこれ考えて、梅酒用のビンとクッキーの缶の2つを作り、準備万端、その日を待ちました。
放課後暗くなった頃、師恩の庭に集まったまさこと子どもたち。秘密の作業に取り掛かります。しかーし!ここで計画のあまさが露呈します。みんな手に手にスコップは持って来たけど、こんなに暗いのに灯りがない!!外灯もなく、師恩の庭は、とにかく暗かったのです。
「先生、埋める場所、どこやったっけ?」
そうなんです!あらかじめ決めていた場所がわからない😱数年後掘り出すためにわかりやすい場所をと、明るい時間にリーダーたちと決めておいたのに!
焦るまさこと子どもたち。
もう仕方ない、このあたりにしよう!と樹木のない記念碑近くの土を掘り始めてみました。はて、今度は土がカチカチで固く、スコップが立たない!!浅い穴しか掘れそうにありません😩
「先生、これ、ちゃんと埋められんよ」「雨が降ったら出てくるよ」と子どもたち。まさこも自分のあまさに笑えない状況で四苦八苦。
と、突然パーッと周りが明るくなって一同びっくり‼️え???何何???
車のライトが私たちを照らしていました。カトちゃんでした😱
「うわぁ!アウト!!叱られる!」
冷や汗とともに観念・・・と思っていたら、
「ははは、この方が明るいじゃろうが!」「ワシが照らしてやるから、はよー掘れ!」と笑い声。
さらには、車から降りてきて「どこを掘るんか?おお?お前らー!」と仲間入り。なんとか掘って埋めたら「はよー帰れよ」と言って、まさこと手分けして子どもたちを車で連れて帰ってくれたのでした。
涙が出るくらいうれしかった😭
その当時、卒業式前日には生徒指導の先生たちは、会場の見回りのために泊まりがけで学校を警備していたのでした。
思いついたら即行動!!行き当たりばったりのまさこでしたが、カトちゃんは、そんなまさこの良き理解者であり、黙って助けてくれる頼れる味方でした。
そして、卒業式のあと、いろんな手続き業務がひと段落した頃に開いたご苦労さん会。
カトちゃんが「下関で一番美味しい焼肉屋に連れて行きます!」と、卒業学年の仲間を引き連れて、やって来たのが「一龍」でした。
大きな肉を広げて焼いて、ハサミを使って切り分けて、サンチュに巻いて食べる韓国式の焼肉はこのときが初めてでした。〆にはおすすめのコムタンクッパを注文し、「これが最高なんよ!!」と満足そうなカトちゃん。
酔ったカトちゃんは、まさこに「先生はいつも生徒と一緒におるから、応援したくなるんよ」と声をかけてくれました。
忘れられないカトちゃんの思い出。
そして、焼肉「一龍」
さらにーー、これもまた縁があるというもの。
彦島中学校から転勤した先の名陵中学校で「一龍」の娘リエを担任することになります。そのうえ、リエと同い年の娘のトモは、学校は一度も一緒にならなかったのに、今では帰省のたびに会っては飲んで語り合う大親友になってしまうのですから😳
この日ふたりの会話を聞いていて、実はまさこが中学生のリエに「うちの娘のトモ、リエと気が合うと思うよ〜」と、トモを紹介し、以来メル友になっていったということらしい😅本人はすっかり忘れていましたけど💦
「一龍」のママ。リエのお母さんは、明るく気さくな方。たどたどしい日本語で「はーい、せんせー、お元気ですか〜?」と声をかけてくれていました。
家庭訪問ではキムチをいただきましたし、保護者会では「せんせー、米原万里さん亡くなったね。悲しいねー。」「米原万里さんの本、大好き。面白いよ、読んでみて」と、リエの話はそっちのけで、米原万里の本を何冊も貸してくれました(以来、まさこは米原万里にハマってしまうのです😅)
夫婦仲がよく、繁盛店の「一龍」はいつも大忙し。お父さんが奥で肉の仕込みと調理、お母さんが注文をとり、市立大学の学生バイトのお兄さんたちが肉を運んでいました。
お父さんが病気で亡くなってからは、お母さんがレシピを受け継ぎ、一人二役で店を切り盛りしていたのですが、ついにここで閉店を決めたのです。
東京の大手銀行に勤めるリエも、今回は帰省するとトモから聞き、お母さんに会えるのも今日が最後になるかもしれない!!と、トモとふたり、感謝の気持ちを込めて退職祝いの花束を用意して「一龍」を目指しました☺️
「えーー!私に?あはは!うれしい!きれい!飾っとくねーー!」と、すぐにそのまま店に飾ってくれました。
店内には、何箇所か閉店を知らせる張り紙。「後継者がいなくて」とあります。
寂しさを振り払って、さあさあ、始めるよ。
ビール🍺で乾杯の後は、塩タンをレモンで。続いて特上ロース、特上カルビをサンチュで巻いて。途中から、リエが私たちの中に入ってくると、出されたのがプルプルの豚足。思わず「あー!豚足を頼み忘れとったわー!」
そうなんです。一龍では必ず豚足を注文していたのです。「ここの豚足の下処理は素晴らしい!」とはやとさん。いつも感動しながら食べていたのを思い出します。さぞ悔しいことでしょう。
ああ、久しぶりの焼肉「一龍」を堪能したなぁ〜☺️と思っていると、「最後に、コムタンクッパを食べて!ってママが言ってる」とリエ。「美味しいから!」とお母さん。
もちろんいただきます❣️
やっぱり!最高に美味しかった〜!!
食べ終わり、お勘定を済ませ「お母さん、みんなで写真撮りましょう」と声をかけると、「せんせー。写真好きですか?嫌でしょ?」と言って奥に入り、それっきり出てくることはありませんでした。
ああ、お母さん。この店。終わってしまうんですね😔
ツーンとこみあげるものがありました。
カトちゃん。「一龍」店閉めるってよ!!
そういえば、あのときのタイムカプセルどうなったんだろ😅
あはは🤣みんなきっとすっかり忘れてるよね。ブログを読んでくれてるという教え子のシゲ。あなたは覚えてるかしら?