むずかしいことをやさしく
やさしいことをふかく
ふかいことをおもしろく
おもしろいことをまじめに
まじめなことをゆかいに
そして
ゆかいなことはあくまでゆかいに
井上ひさし
まさこが国語の教師だった頃、いつもこの言葉を意識していました。難しいことを難しいまま教えても、伝わらない。伝わらないことほど意味のないことはない。どうやさしく語るか。生徒たちの興味を湧き立たせるにはどうすればいいのか、楽しい、おもしろい、そして分かる授業をどう組み立てるか。いつもいつも試されているような気持ちで教材と向き合っていたように思います。
大好きな脚本家井上ひさし。彼の脚本の醍醐味はセリフの妙。まさにむずかしいことをやさしく。彼もまた、観た人の心に残る伝え方をセリフというかたちで、もがき苦しみ悩み、搾り出すようにして表現してきたのだなぁと感じる演劇ばかりです。
彼の脚本は上演ギリギリまで完成しないというのは、よく知られたことでした。楽しみに観に来る客のためにも、自分に納得のいくもの、井上ひさしらしい完成度の高いものに仕上げる。その作業は、きっと彼にとって苦行にも等しかったのではないか、と想像できます。
彼の遺作となった「木の上の軍隊」を観たとき、残念ながら、ああ、これは井上ひさしの脚本ではないなぁと感じました。沖縄を描くことを使命として最期まで筆を持ちながらも、脚本として仕上げることは叶わず、上演を見ることのなかった作品です。彼の遺志を受け継ぐ人々の手によって上演に漕ぎ着けたと知り、とても楽しみにして出かけたのですが、彼らしいセリフが聞けなかったなぁというのが正直な感想。舞台装置や演出は素晴らしかったのだけど、言葉には、どうしても納得のできない違和感が残りました。
言葉をあやつる。こう書くと語弊があるかも知れません。だけど、言葉の遊び。言葉の深さ。言葉で観客を引き込み、納得させる力が彼の脚本にはある。そう思っています。
今日はこまつ座の「イヌの仇討ち」でした。ずいぶん前に一度観たのですが、すっかり忘れてしまっていて、新鮮に見ることができました。大好きと言っても、その程度なんです🤭
年の暮れになるとドラマになる赤穂浪士討ち入りを、吉良上野介の側から描く脚本です。大石はなぜ吉良を襲ったのか。その謎を解き明かしたとき、自ら大石の前に出て行く吉良。
自由にのどかに生きる世界、桃源郷。そこに生きたいという吉良の夢。権力を握る者によって踏みにじられることを知る吉良。自らを権力の側にいると思い込んでいた吉良が、真実に気づき、権力に立ち向かう大石のねらいを知って、自分の身を差し出すという最期に、うなりました。
言葉で紡ぎ出す井上ひさしの世界。やっぱりすごい!!
心の栄養補給ができました。
はやとさんも多忙ななかにあって、心の栄養補給に出かけたみたい。
仲間と映画「すずめの戸締まり」を観に行くと。まさこもとても興味のある映画です。東京ではもう観られるんだなぁ。
うらやましい!!
「やっぱ、東京は違うね」のコメントとともに送られてきた大都会の写真。クリスマスの装いに😮💨ため息